竹本淳一の鞘取りの極意 情報提供:投資日報

基礎知識から応用まで No.60


 東京白金についてみてみましょう。6番限の価格マイナス3番限の価格の鞘グラフを見ると、大きく二つに分かれております。

 08年1月初旬から2月末日にかけて、グラフ上では右肩下がり、逆ザヤ拡大のトレンドを描いております

 サヤの形態は、当限価格 > 中限価格 > 先限価格の逆ザヤ状態ですが、この時期、白金の主要産出国である南アフリカ共和国の電力不足による供給懸念がニュースになり、白金相場は期近主導で急騰しました。


 08年1月25日のブロック帳では1番限の2月限と2番限の4月限の隣同士のサヤ値が▲134円と大きな逆ザヤになっており、当限からの上昇の強さを感じる事が出来ます。鞘の形態は『品不足の逆ザヤ』状態。このようなときに鞘取りのポジションを仕掛けるのであれば、流れに逆らわず、期近の影響を次に受けやすい中限を買い、ヘッジとしての考えで先限を同時に売るポジションをまず考えるべきです。利益になるまでの期間が早いが、サヤ値の変動リスクも高いので注意です。

 その後、08年2月15日.16日に▲206円で逆ザヤ値は底打ちになり急激に縮小しました。白金自体の価格も急落。南アの問題も相場に一旦織り込まれました。そして逆ザヤ縮小の過程で、当限主導の逆ザヤ拡大の勢いは衰えていきます。


 4月18日のブロック帳では、1番限の4月限と2番限の6月限の隣同士のサヤ値は、なんと+27円の順ザヤになっています。鞘の形態は変わり、『前途悲観の逆ザヤ』状態です。3月後半からのサヤ値の変動幅は、グラフ上で▲80〜▲120の範囲内で動く狭いレンジとなり、リスクは小さくなりましたが、動きはやや不規則で、相場が下落すれば先限主導で逆ザヤが小幅に拡大するといった状況。

 このような時は、逆張り気味にポジションを取ります。大きな値幅は狙わずに短期間で細かく利食いをするのがよいでしょう。しかし一旦レンジを離れての動きがあれば、逆張りのポジションは直ちに損切をして離脱するべきです。

今回の60回で『鞘取りの極意』は終了となります。長い間、ありがとうございました。