(株)オーバルネクスト 報道部 小針秀夫
タイのゴム研究所(RRIT)を訪れてvol.1…ゴムに関する研究と開発の機関
最後に訪れたのはタイのゴム研究所(RRIT=Rubber Research Institute ofThailand)である。ここはタイ全国で3カ所あるゴム研究所のヘッドオフィスである。このタイゴム研究所とは、ゴムにかかわる研究・開発を行っている政府の部門の一つである。その機能としては大きく二つ。一つはゴム樹のリプランティング(植え替え)の基金としてのORAFで、もう一つはゴム農園機構としてのREOである。この機関はタイ農業局の中にあり、主にタイ国内の8つの地域のゴム農園の研究や開発に尽力している。
具体的な作業としては、ゴム農園を開発するための全体図を作成したり、生産を向上させるための技術開発なども推進している。あるいは「ラバー・コントロール法」に基づいてゴムの生産・輸出・在庫調整・技術移転などを行っている。
ゴム研究所(RRC)は、バンコクをヘッドオフィスとしてその他に4カ所設置されている。それらはソンクラ(Songkhla)、スラタニ(Surat Tani)、チャコエンサオ(Chachoengsao)、ノンカイ(Nong Khai)にある。また原料USSを取り扱う中央ゴム市場(OCRM)は、ソンクラ(Songkhla)、ナコンシタンマラ(Nakhon Sri Tammarat)、スラタニ(Surat Tani)の3カ所に設置してある。特に中央ゴム市場の日々の集荷量は、タイの生産状況を把握する上で、非常に重要な意味を持つ。
参考までに、中央ゴム市場は今後更に4ヵ所増設する予定である。その内の2カ所、ヤラとライヨーンはほぼ完成している。その他の2カ所はタイ東北部にあるノンカイとブリラムである。
タイのゴム研究所(RRIT)を訪れてvol.2…RSSからTSR指向の傾向が鮮明に
次に説明があったのは、タイのゴム農園事情である。現在の農園面積は225万ヘクタールで、南部地域を中心に、東地域、北東部地域にあり、100万以上のスモールホルダー(小規模農園)がある。今後、2010年を目標に240万ヘクタールまで農地は拡大する予定である。地域は北部と北東部。
今年のタイの天然ゴム生産は300〜310万トンが見積もられている。生産の内訳としては、年々RSSからTSRへと切り替えが進んでいる。これを輸出量で見ると、2004年の時点でTSRがRSSを上回り、これからはその格差は拡大する見込みである。
一方、輸出は、1994年当時は日本が33%で首位、2位が中国の15%、マレーシアが13%で3位だったが、2006年には中国が27%と急激に伸びて首位であり、2位が日本18%、3位がマレーシア16%である。生産国であるマレーシアへの輸出量が多いのは、マレーシアが国境近くのタイのゴム原料をさかんに買い付けしているためである。
タイのゴム研究所(RRIT)を訪れてvol.3…中央ゴム市場の集荷が激減
参考までに、現在、前述のタイの中央ゴム市場の集荷が激減している。その状況は、まるで今年4月から5月にかけたウィンタリング(落葉期)後の減産期と見紛うほどである。
この原因について、生産された分から次々に中国などへの輸出用となるため中央ゴム市場にオークションとして出てくる原料ゴムがほとんどなくなっているためだと見られている。別な角度では、主要な産地で大雨続きとなっているため、タッピング遅れが進み、原料が出てこないためだとも見られている。
いずれにしても、このまま中央ゴム市場の集荷が進まないまま推移した場合、これからの時期は来年のウィンタリング期に向けて在庫を積み増ししなければならないはずが逆に、増産期の時点で原料不足となってしまう恐れすら出ている。最近のゴム高の原因は原油高だと指摘されているが、その部分だけではなく、ゴム自身の需給ファンダメンタルズも価格上昇の一因になっている点は否定できない。
エピローグに変えて
今回の視察で始めて見たベトナムは、とてもエネルギッシュでこれからの経済発展が楽しみな国だ。物価や街並みからすると、タイからは遅れること5〜10年、日本の昭和30〜40年代である。だから逆に、それだけ経済が伸びる余地が多いということだ。あっという間に中国の経済発展が進んだように、ベトナムも瞬きをする間に急激な経済発展を遂げることだろう。
タイも地方はまだゆっくりな速度だが、首都バンコクは、東京や大阪の大都市と遜色がないほどの大経済圏であり、軽視することのできない情勢である。いつかは日本なども追いつき追い越されてしまう時代が来るとも限らない印象である。
このような中、経済が発展すればするほど、一次産品の産業は衰退してしまうという逆相関がそこにはある。古来からの南北問題も、南部エリアの経済発展とともに、徐々に解消されると同時に、「では、誰が一次産品を、天然ゴムを作るのか」という深刻な状況を呼び込むわけである。
近未来小説のように、恐らくは、ゴムなどの天然ゴムは全てなくなるだろうし、天然ではない合成ゴムだって、原油がなければ作ることはできないわけだから、ゴムというエラストマー(弾性物資)に変わるようなものの開発に迫られる時代だってくるかもしれない。そんな不安な時代にあって、我々は、相場というペーパー上だけで天然ゴムを眺めるのではなく、今回の視察のように現地との触れ合いも大事なことなのだと改めて認識させられるのである。
最後に、このような企画をしていただいている東工取先物市場振興協会、並びに東京工業品取引所に感謝の意を示すとともに、今回、ボランテイア精神で翻訳したり我々をナビゲートしていただいた古井さん(現在アグロウ・インターナショナルCEO 元丸紅)や、井上さん(岡地鰹務取締役)に深く感謝するとともに、関係各位にも同じく深謝し、今回の報告を終わりとしたい。
(株)オーバルネクスト 報道部 小針秀夫
タイのゴム工場を訪れてvol.1…農園から製品工場まで全てのプロセス有する
タイ南部の政情が不安であるため、3年前からタイ南部最大の商業都市ハジャイのゴム工場を訪問することを避け、昨年まではタイ南部のスラタニとトラン、クラビにある3カ所のゴム工場と、スラタニ中央ゴム市場を訪れていたが、今年からはバンコクに近いタイ中部にあるラヨーンのゴム工場に向かった。
ここ「THAIHUA RUBBER PUBLIC」は、タイ国内の数あるゴム工場の中で中堅クラスではあるが、ゴム農園とTSR、RSSの2つのゴム工場を有している他、ラテックスの加工工場(ゴム手袋工場)もあり、「揺り籠から墓場まで」方式のごとく、最初の農園から製品にするまでの全てのプロセスを有している。ここで生産されたゴムの半分は、タイ国内のユーザー工場へと運ばれ、残り半分は、海外向けとのこと。国内向けの中には、タイにあるブリヂストン工場にも輸送されるそうだ。また海外向けの主なところとしては、アメリカのグッドイヤー、フランスのミシュランなどがあるとしている。
タイのゴム農園を訪れてvol.2…農園のゴム種は古いタイプのハイクローン種
ゴム農園では、タッピングの実際の作業を見せてもらった。この地域のウィンタリング(落葉期)は例年2〜4月で、ハジャイなど南部の3〜5月と比較すると約1カ月早く始まるという。またタッピングは深夜1時から2時前後に行われ、これを朝方の6時前後に集荷するという。今年の場合は、全般に雨が少なく、それが減産につながっていると説明した。
またここで植林されているゴム樹の多くはRRIM600で、マレーシアでかなり以前に開発された古いタイプのハイ・イールド・クローン種が植え付けられている。
タイのゴム工場を訪れてvol.3…RSS工場内の倉庫はほとんど在庫なく
ゴム工場は最初にRSS工場が案内された。よく整備された工場内は、同じ赤いユニフォームを着て働く多くの若い女性がほとんどだ。力作業を必要とする部署だけが男性が働いている。その多くは、ラオスなど近隣諸国からの出稼ぎ労働者である。1日の労働賃金は185バーツ(日本円で約600円程度)である。
工場内の印象としては、かなりガランとしていて、積み増しされているはずのゴム在庫のほとんどは無きに等しい状況だった。平年であるならば増産期であるはずが、今年の場合のこの時期が減産傾向であること、また中国などからの引き合いが強いことが、在庫の積み増しを許さない状況につながっていることを連想させた。
RSS工場を見学した後は近いところに隣接してあるTSR工場も見学した。一般的なTSR工場であるが、主力のSTR20の他に、あまり見たことがない STR10なども在庫として積まれていた。
タイのゴム工場を訪れてvol.4…自社で生産した原料でゴム手袋を製造
最後に案内してもらったのがラテックスの加工工場である。ここではゴム手袋が生産されている。人間の手をした型取りが数十個も機械に取り付けられ、流れていき、ラテックスがたまっているボックスの中に次々とひたされていく。すると、ラテックスがついた型取りが薄い膜を張り、それが手袋化していく。ほとんど全てがオートメーション化され、最後に手袋が取り外されるところだけ、人間の目でチェックされて、不良品と見られるものだけがはじかれる流れ作業となっている。
残念ながら、この工場は企業秘密ということから、カメラでの撮影は一切禁止であるため写真をお見せすることができない。ただ、人間と同じサイズの白い手がニョキニョキと沢山生えた機械が、シュルンシュルンと流れていく過程は、どこか気持ち悪いものがあった。
マレーシアでは、このようなゴム生産工場がよく発達しており、原料ゴムが足りなくなることが近年多くなっていることから、それをタイ産の原料で補っているため、タイからの輸入が増えている。しかし、タイもこの工場のように製品化まで手がけるようになると、マレーシアへの輸出ができなくなる時代が近くくるのではないかと連想させた。
(株)オーバルネクスト 報道部 小針秀夫
ベトナムのゴム工場を訪れてvol.1…訪れたダウンティエンはゴムの王国
ベトナムのゴム工場「DAU TIENG RUBBER」を訪れたのは11月5日のことだった。場所はダウンティエン。ここでお気づきの方もいると思うが、このゴム工場の名前と地名とは同じである。日本の豊田市が世界のトヨタと同じであるように、この地域全体がゴムの街なのである。広大なゴム工場と農園で構成された敷地は、王国のようなイメージすらある。
生産工場は3カ所にあり、ここでは1万8000トン/年の生産キャパがあり、その他のところでは、ロングホンで1万2000トン/年、プービンで1万5000トン/年、3カ所の合計で4万5000トン/年が基本的な生産可能量になっている。生産実績は、2006年は価格が高値をつけたことから生産意欲が高まり、年間で生産能力を上回る4万9000トンが生産され、今年2007年は生産能力と同水準の4万5000トンが予定されている。来年2008年は4万1500トン程度の生産にとどまる見通しである。来年の減産見通しの背景には、古いゴム樹木の多くが伐採されることから、これによって生産が可能となる農地が少なくなることがある。
同社の生産の内、約90%が輸出されている。主な輸出先はEU、日本、韓国、台湾。日本の輸出先としては、丸紅、豊田通商、野村貿易などで、年間8500〜9000トンが振り分けられているという。更に、「日本の横浜ゴムが買い付けをしたいとの要請があり、現在交渉中であるが、手持ち在庫が少ないため直ぐには対応できないものの12月に入ってから対応することが可能かもしれない」とのことだった。
今後のゴム農園の拡張計画に関しては、自国では限界があることから、ラオスで10,000ヘクタール規模の新しいゴム農園開発の計画があるとし、更にベトナム資本の農園の拡充を計画しているとしている。
ベトナムのゴム工場を訪れてvol.2…標準品SVR3Lはクリーンな黄金タイプゴム
我々は、訪れた「DAU TIENG RUBBER」の工場を見学した。ゴムのグレード(分類)は「SVR3L」。SVRはStandard Vietnam Rubberで、3Lの3はゴミの含有率が100分の3であることを示し、Lはライトカラー=明るい色調であることを表している。つまり、最高級のハイグレードゴムであるということだ。
SVRはブロック状ゴム(TSR=テクニカル スペシィファイド ラバー)を示し、SVRはベトナム産、SMRはマレーシア産、SIRはインドネシア産、STRはタイ産を示す。これまでさまざまなブロック状ゴムを見てきたが、これまでで最も美しいブロックゴムだった。またゴム特有の臭いもほとんどない。直接、綺麗なラテックスから製造するという独特の生産方式のためか、極めてクリーン。見た目は、栗羊羹、あるいはスポンジケーキでいかにも食べられそうなほどである。敢えて和名としてつけたいのが「ゴールデン・ブロックラバー」である。
これだけ品質が高いゴムなので、割高な価格だと思うのだが、実際に取引されている値段は、シンガポールTSRゴム相場とマレーシアTSRゴム相場との平準価格を参考にしてディスカウントして取引されているという。具体的には、11月9日現在のSVR3L価格は、シンガポールの246.25セントとマレーシアの243.10セントの平均244.7セントを更に割り引いた価格(恐らくマレーシア産と同レベルの水準)が推定ではあるものの実質的な取引価格になる。
ベトナムのゴム農園を訪れてvol.3…1日に2カ所のタッピングを行っている
ここ「DAU TIENG RUBBER」が保有するゴム農園はとにかく広い。農地は2万9000ヘクタールもあり、その内の2万3000ヘクタールでゴムの生産が可能だという。残りは、まだ若木かメンテナンス中の農地だとのことである。
ゴム樹木の生産サイクルは、新しく植え付けしてから7年間は生育し、それからタッピングと呼ばれる採液作業が可能となる。タイやマレーシアがそうであるように、それから約20年間は生産されることになる。
この農園で特徴的だったのは、通常、1本の木に一つのカップランプ(切り付けをしてゴム樹液を溜めるカップのこと)が取り付けられるが、多くの木に二つのカップランプが取り付けられていることにある。つまり、1日1回だけのタッピングであるものの、この農園では1本のゴム樹に2カ所タッピングするということである(ダブル・カッティングと話していた)。通常、これは1日に2回行うダブルタッピングと同じこととなり、いずれにしても生産効率は2倍となる。
また植えつけられているゴム樹の品種は、一般的だったRRIM600をベースにして様々な品種改良が重ねられ、現在はGT1やPB235が主流になっているとの説明だった。実際に見せてもらったゴムの苗木は、実験的な新しいクローンが植えられていた。たまたま見学させてもらったゴム農園ではRRIV4やBM515などベトナムゴム研究所で品種改良された新ゴム種が植えられているとのことだった。
(株)オーバルネクスト 報道部 小針秀夫
プロローグ 〜初めてのベトナム視察とゴム市場の重鎮が一同に参加
天然ゴム市場の市場活性化と啓蒙を目的とした、毎年恒例の東工取先物市場振興協会主催「ゴム産地研修視察旅行」が11月3日から9日の日程で実施された。参加者は、会員(商品取引員)から21名、取引所職員として3名、プレスから3名が参加した。団長は東京工業品取引所先物振興協会ゴム市場委員会の清水清委員長(カネツ商事会長)。参加者の主なメンバーとして、岡地鰹務取締役の井上成也氏、豊商事潟fリバティブスIT事業部部長の多々良孝之氏など、ゴム市場業界の重鎮が一同に集まった。東京工業品取引所からは常務理事の早川一成氏が参加された。またタイでは現地法人であるAgrow Enterprise Company LimitedのCEOである古井千昭氏が通訳兼ナビゲーター役の任を受け、特別参加された。
今回は、ゴム視察旅行で初めてのベトナム入りとなり、大変興味深い内容となった。またタイでもラヨーンにあるタイファーラバー(Thaihua Rubber Public)を訪問すると同時に、製品工場(ゴム手袋工場)の見学も許可され、例年以上に盛りたくさんの視察内容となった。初めに現地入りしたベトナムのゴム工場と農園、次にタイのゴム工場の農園、最後にタイゴム研究所(Rubber Research Institute of Thailand)の順でレポートする。
初回は、視察記の前に、基礎的な学習として、最近のベトナム事情とタイ事情の概要について触れる。
ベトナム事情
ベトナム経済は、アジア通貨危機で一時失速した国内総生産(GDP)の成長率も、2001年は6.8%、02年7.0%、03年7.2%、04年7.7%と安定成長が続いている。中国では人件費が上昇基調にあることから、新たな投資先として近年、注目されている。
現在、ホーチミン証券取引所の時価総額が約140億ドル、ハノイ証券取引所の時価総額が約60億ドル規模。両証券取引所を併せて200億ドル。両証券取引所に上場されている企業は200社余りだが、今後急拡大が見込まれている。ここ数ヶ月ベトナム市場の売買高は大きく増加、1日平均売買代金は1億ドルに達することもある。10月に海外投資家が市場へ投入した金額は1億5000万ドルに上る。
WTO加盟がベトナム政府にとって重要な目標となっていたが、2007年1月WTOに加盟した。労働人口の66%が第一次産業に従事しているが、近年は第2、第3次産業が急成長。観光業の伸びが特に著しく、重要な外貨獲得源となっている。主な輸出品目は原油、衣料品、農水産物。特にコメについては、タイに次ぐ世界第2位の輸出国。近年生産量・輸出量ともに増加しているのがコーヒーで、現在ではブラジルに次ぎ、世界第2位。大部分が、インスタントコーヒー、缶やペットボトル入りの清涼飲料、製菓用抔で使われる安価なロブスタ種であるが、レギュラーコーヒーに使われる高級品のアラビカ種の栽培も始まっている。ベトナムの天然ゴム生産は、タイ、インドネシア、マレーシア、インドに次いで世界第4位の生産国である。現在のベトナムの年間天然ゴム生産量は50万トンの大台を超え、55万トンに迫っている。
タイ事情
1985年から1995年にかけての10年間、タイは年間平均9%もの経済成長率を記録し続けたが、1997年に始まったアジア通貨危機により経済は停滞した。これによってタイは1ドル/25バーツに固定していた固定相場制を廃止。1998年1月には1ドル/56バーツにまで値下がり、経済規模は10.2%も悪化した。しかし、タイは外国への輸出を積極的に行ったことから1999年に経済成長率は再び4%台を記録、2003年には6%台を記録し、タイは好景気に逆転した。2006年の国内総生産は1906億ドル。同年ベースの輸出は1282億ドル、輸入は1260億ドル。
2006年2月、タクシン首相の政治手法、一族の株式売買等をめぐり、反タクシン派・親タクシン派双方の大規模な集会が開催され社会的対立が激化。4月、タクシン首相は下院解散、選挙を行ったが、主要野党がボイコットし、また、議席が確定しない選挙区が多数生じる等の異例の事態となった。その後、やり直し選挙の日程が検討される中、9月にタクシン首相が国連総会出席のため外遊中に、ソンティ陸軍司令官を中心とする民主改革評議会が首都を制圧、統治権を掌握するに至り、タクシン政権は終焉した。その後、10月、同評議会が国王に奏上し、承認を得たスラユット首相の下で暫定内閣が発足した。一連の政情不安を招いた一因として、タイ南部で発生しているイスラム系過激派によるテロ連続爆破事件が指摘される。この連続テロにより、2004年から現在に至るまで約2000人の死者を出している。
タイは世界最大の天然ゴム生産国であり、その動向は天然ゴム市場にとって大きな価格変動要因となっている。タイのゴム生産は1995年以降の10年間は、年率で約7%の高い伸び率を示し、2004年には298.4万トンに達して300万トンに接近した。しかし、2005年は293.7万トンと若干減産となり、2006年も300万トン以下にとどまる可能性があったが、最終的に313.7万トンとなり初の300万トン台を記録した。
今年の月別の生産推移は前年比でややプラス気味で推移しているが、足元の生産量や集荷量が天候要因などで増えていない点は重視されている。