天河サヤ線とは−波多野浩によるごあいさつ

「相場は相場に聞け」という格言があることをご存知でしょうか。相場格言の中には意味がよく分からないものがありますが、この格言はその筆頭格でしょう。「チャートは相場の杖」ともいい、テクニカル分析が重要な指針となることは多くの投資家が認めるところです。
 しかし、テクニカル分析を勉強すると、その限界性といいますか、自分の限界性でもよいのですが、それとともに血が通っていないといいますか、疎外感のようなものを感じるようになります。何か基本的なところで間違っているのではないかなどと・・・・・・。 そんなとき「相場は相場に聞け」という格言が新たな意味を持って浮上してくることになります。相場と対話することにより、相場に血が通っていることが分かるようになるのです。
 血が通った相場とは何かを考えてみましょう。普通、チャートは相場を始値、高値、安値、終値の4本値で表示します。しかも、取引期間に限度があるため、期近や先限のつなぎ足をもってその銘柄の歴史としているわけです。
 しかし、そのチャートは違う限月のつぎはぎに過ぎず、実際の取引とは大きくかけ離れた姿になることもしばしばです。つまり、4本値のつなぎ足とは取組が多い限月、人間で言えば青年期のスナップ写真を永遠につなぎ合わせたようなもので、その限月ごとの栄枯盛衰を部分部分寄せ集めたに過ぎないのです。

 もうお分かりですね。相場は、4本値で構成されているのではありません。限月で構成されているのです。人間の身体が五体、五臓六腑でできているようなものです。つまり、相場を診断するには限月別の診断とそれぞれを関連付けて総体として捉えることが不可欠となるのです。
 「相場は相場に聞け」とは「相場に問診しなさい」ということであり、その問診の方法は4本値ではなく、限月総体に問いかけて総合判断しなさいということなのだと捉えてみてください。

 では、限月でなければ、4本値ではなかなか見えてこないものとは何でしょうか。それは“物の過不足”、“人気の強弱”、“変化の予兆”ということです。
 これら3要素を見やすく工夫されたのが“天河サヤ線”なのです。天河サヤ線はその日その日の相場の実体(全限月)を、限月ごとの誕生(発会)から終焉(納会)までつなぎ足でつぎはぎすることなく、ビデオテープのように収めたチャートということができます。

 あなたはこれまで、どこで下げ止まるのか、どこまで上げるのかなどと、結果だけにこだわった見方で分析していませんでしたか? もちろん、サヤ取り戦術でも「相場を限月ごとに問診する」ことが基本となります。
 なぜなら、より下落するエネルギーが高い限月を売り、下落するエネルギーが低い限月を買って、または逆に上昇するエネルギーが高い限月を買い、上昇するエネルギーが低い限月を売ってリスクを低減し利ザヤを稼ぐのがサヤ取りの基本だからです。
 ですから、先限足4本値のチャートでサヤ取り戦術がひねり出せるわけがないことは当然ですし、またサヤが開いたから縮小する、縮まったから拡大するだろうという単純思考でもサヤ取りはできません。
 限月間のサヤはその銘柄の健康状態を表しています。サヤが拡大を続けるのか縮小を続けるのか、または転換するのか、それらバイオリズムを掴むには天河サヤ線を手掛かりとしたサヤ分析が最も近道で合理的だと思います。

 「急がば回れ」という格言があります。4本値先限足チャートで自分勝手に分析して当たった外れたで一喜一憂するのではなく、相場に問診してみて下さい。その代わり、「相場はサヤを知る者に語りかける」であり、天河サヤ線でサヤ分析の基本と思考方法を習得しておくことが不可欠であることは間違いありません。
 しかし、そんなに難しい分析方法ではありません。限月間のサヤの表情には大きく4つしかないのです。その表情にはそれぞれに「物の過不足」と「人気の強弱」、そして「変化の予兆」を示すパターンがあり、それがどの表情に変わるか問診すればよいのです。

 さあ、天河サヤ線で本当の相場分析の世界に入ってください。

波多野浩のプロフィール
立教大学経済学部卒
潟Iーバルネクスト 主任アナリスト
著書には「天河サヤ線」「常勝の先物戦略」(いずれも共著)がある。
テクニカル分析全盛のときからファンダメンタルズ分析のできるサヤ分析の重要性を説いてきた。
一目均衡表と組み合わせた分析に定評がある。


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