竹本淳一の鞘取りの極意 情報提供:投資日報

基礎知識から応用まで No.1

 商品先物取引に本格的に取り組みたいがリスクが怖い。うまく行っているときとそうでないときの差が激しい。日中は本業があるためほとんどモニター画面を診ることが出来ない。ついつい資金を目一杯に張ってしまう癖がある。そういった方は、ぜひ商品先物における板寄せ銘柄の鞘取りにチャレンジしてみては、いかがでしょうか。

 鞘取りは、似たような値動きをする2つの銘柄の一方を買いのポジションで、もう一方を売りのポジションで同時に建て、時期がきたら同時に決済をするという方法です。含み損が出てから、反対の玉を建てるのは単なる両建てで、全く異なります。

 鞘取りはあくまでも、2つの銘柄の価格差の動きのみに注目をするため、買いのみ・売りのみといった、片張りよりもゆったりと構えて取り組む事が可能です。

 鞘取りをするメリットをいくつか挙げてみます。第一は突発的な大きな変動にとても強いということです。海外市場で予想外のニュースが流れてストップ高・ストップ安が起きた時、損失を覚悟で切ろうとしても、自分の注文が通らず、大きな損失を喰らってしまうことがあります。こうなると回復するのは大変な事です。このようなときに、鞘取りのペアに関しては、ほとんど影響がありません。

 第二に、先物の価格が不安定なレンジ相場の時期においても、鞘の価格の動きは比較的、規則的なことが多いのです。



 例えば、2006年度の東京一般大豆。図表1は、先物ツナギ足のローソク足のグラフですが、11月中は狭い中を行ったり来たりしているレンジ相場であり、これを片張りでとっていくのは、なかなか難しい。この時期、サヤの動きはどうだったかというと、先限の価格マイナス3番限の価格=サヤの値は、ゆったりとした拡大傾向にあったのです。この時期は、期中限月である、4月限売、期先限月である10月買、のポジションで保持していれば、「頭と尻尾はくれてやれ」の諺通りに、多少仕掛けや仕切りが遅れたとしても、800円幅、1組で40000円は取れていました。

基礎知識から応用まで No.2

 商品先物で鞘取りを行う場合、まずどの銘柄で行うのか、どのような手法で行うのかを検討する必要があります。私は、流動性が高い板寄せ銘柄の、同一銘柄・異限月同士の鞘取りからスタートすることを推奨しております。

 具体的には東京アラビカコーヒー・東京一般大豆・東京NG大豆といった銘柄です。ザラ場銘柄の鞘取りは、仕掛け・仕切りの際に値段が飛び易く、日中お仕事をしている方には不向きです。

 07年現在では、これら穀物銘柄のサヤは、順ザヤ状態です。順ザヤとは、当限価格〈中限価格〈先限価格と、先に行くに従って、値段が高くなっている状態の事です。

 異限月同士の鞘取りでよく利用されるのが、中限の3番限と、先限の6番限度の組み合わせです。今後、3番限と6番限の価格差=サヤ値が、拡大すると予測すれば、先限を買いで3番限を売りで仕掛けます。サヤ値が縮小すると予測すれば、先限を売り3番限を買いで仕掛けます。

 ではどのようにして、サヤ値の変動を読むのか?私がお薦めする方法が毎日の記録をつける事です。

 図1のように場帳を作り、メインとなる6‐3のサヤ値と、5‐2のサヤ値を、縦に目で追っていくのです。分かり難い場合はサヤのグラフを付けてみるとよいでしょう。サヤの値動きを、あたかも1銘柄の値動きのように追跡してみると、かなり規則性があることに気付きます。


 例えば、アラビカコーヒーでは、06年度はサヤ拡大狙いが有利な年でした。6‐3のサヤ値はたった3回しか千円を割れていません。アラビカコーヒーは国内上場以来、ほとんどの期間が順ザヤ状態であり、逆ザヤ期間はわずかでした。今後もこの傾向は続くであろうと思われます。06年度は、サヤグラフを元にサヤが縮小しきって再び拡大傾向のときに仕掛ける手法で無理なく取れました。

 ただし、6‐3以外で、より低リスクのポジションを取りたい、もっと有利な組み合わせで仕掛けたい場合に必要となってくるのが、ブロック帳になります。

基礎知識から応用まで No.3

 商品先物取引で鞘取りを行う際にぜひとも作成したいのが『ブロック帳』です。このブロック帳をつけることで、その日のサヤの形状が、どのタイプであったか?が判断でき、巷でよく利用される先限と3番限の組み合わせ以外で、有利な限月間ペアを発見できることがあります。場帳やサヤのグラフだけでは分かりにくい、各限月間のサヤ値を把握することができるのです。

 ブロック帳では、6限月間のすべてのサヤの組合わせ=十五通りのサヤ値を一度に表すことが出来ますが、どこを注意してみるべきでしょうか。

 まず期近3本のサヤの値と、期先3本のサヤの値を比較してみましょう。非常に大雑把な分類でありますが、順ザヤにも2通りあります。


 (表1)前途期待型の順ザヤ=期近3本のサヤ値よりも、期先3本のサヤ値の方が大きい場合。


 (表2)在庫過剰型の順ザヤ=これは、期先3本のサヤ値よりも、期近3本のサヤ値の方が大きい場合。

 前途期待の順ザヤは、一般大衆の買い人気に火がついたり、ファンドが先限を買い付けたりと、相場全体が上昇トレンドになっているときに発生しやすい。サヤにプレミアムがついています。相場が天井を打ち、大衆が投売りをしてきたときには、先限から大きく価格が下落してサヤは縮小します。この過剰プレミアムの縮みを狙い、期先売り―期中買いのポジションでサヤの縮小を狙うのがセオリーでした。

 ところが、若干このルールが変わってきたので気をつけなければいけない。順ザヤの先は、無限大には拡大しないと言われていましたが、ここ2〜3年、コーン、一般大豆、NG大豆、アラビカコーヒーといった穀物銘柄で、過去の順ザヤの値を間単に越えて、拡大することが多くなってきています。縮小狙いで仕掛ける時は、損切りのポイントを定め、相場が崩れてから仕掛けても遅くはありません。無理をして玉を重ねてのナンピンは時に大きな損失をこうむる事があります。 次回は、在庫過剰型の順ザヤについて説明します。

基礎知識から応用まで No.4

 在庫過剰型の順ザヤについて説明します。ブロック帳をつけたときに、期近〜期中のサヤの値が、期中〜期先のサヤの値よりも大きいのが特徴です。穀物相場で、よく見られます。

 「余り物に値無し」とも言われますが、現物の価格に直結している当限価格と2番限の価格差が大きく乖離しているときは特に順ザヤの拡大狙いで利益を狙えないかを、まず考えてください。

 安い限月の期近・期中を売り建て、高い限月の期先を買い建ててポジションを組むのが順ザヤの拡大狙いの手法ですが、この拡大狙いで昨年度(2006年度)の穀物やアラビカコーヒーの鞘取りにおいては高い勝率と大きな値幅をとることができました。


 在庫過剰型の順ザヤ状態のときは、相場全体が上げ基調のときでも、期先3本と比較して期近3本の価格はそれほど上昇しません。一方相場全体が下落基調の時には、期近3本の下落幅のほうが期先3本のそれよりも大きいです。

 さらに時間を味方につけることができます。例えば、6番限(先限)買い―3番限(中限)売りのポジションを持ち、納会日を迎え翌営業日には、このポジションは5番限買い―2番限売りに位置がずれるのでが、その時に順ザヤはさらに拡大しやすい傾向があるのです。できれば、中・長期間、ポジションを保有して利益を伸ばしていく戦法が有効であると考えられます。

 特に先限価格のチャート上でもダラダラとした下落トレンドが数ヶ月に渡って続いているときはこの拡大狙いの戦法は非常に強力です。

 犯しやすい間違いとして、「こんなにも期近と期中のサヤが拡大しているのだから、このサヤを縮小狙いで取ってやろう」とポジションを組む方がおります。一度在庫過剰型の順ザヤが定着すると突発的なニュースがない限り、長期間拡大傾向は続きやすいので、結局縮小せずに時間切れとなるケースが多いのです。

 次回は、「ひとつのマスだけが異なる場合のブロック帳の読み方」をテーマに説明します。

基礎知識から応用まで No.5

 鞘取りのブロック帳をつけていると、時々興味深い現象が見受けられます。同銘柄・異限月のブロック帳で、隣同士のサヤのマス目は5つ存在し(1/22の図例ではA‐C +1950 C‐E +1100 E‐G +460 G‐I+160 I‐K +890)このマス目のうち、一つだけが他の値と極端に異なるサヤ値が出現することがあります。


 このとき、損切りの規定さえきちんと決めればリスクに対してのリターンが大きい取引が期待できます。1月22日の東京NG大豆のサヤブロック帳ではG‐I+160の値だけが他と比較して相対的に小さいように感じられます。このときに、8月限を売り建て、10月限を買い建てて、順ザヤの拡大狙いのポジションを仕掛けます。NG大豆が順ザヤ状態である限り、この+160という値が再び増大=拡大する確率が高いとの思惑で仕掛けるのです。

 またこの時期は鞘の値も激しく変動しておりました。一般的には6番限と3番限のペアでの鞘取りがポピュラーですが(EとK)、ブロック帳をつけることで隣同士の限月で仕掛ける(GとI)・1つまたぎで仕掛ける(GとK)なども選択できます。逆行した場合でも絶対的な損失金額がより少なくなるのです。

 このパターンの注意点は損切りを守る事、その損切り幅は、サヤ値(+160)が0=同ザヤになったとき、もしくは逆ザヤになったときです。一時的な逆ザヤは大抵元に戻るのですが、時として限度無く逆行するケースもあるためです。

 実例では仕掛け後から2週間でサヤ値が充分拡大したので決済を行いました。1組の仕掛けだとしても、投下資金3万円(1.5万×22枚)に対して17700円の利益です(1930―160=1770円幅×10倍)。予想リスクに対して非常に高いリターンを上げる事が出来ました。片張りと比較しても遜色がありませんし、この期間、外電や為替による価格の変動は影響を受けておりません。

基礎知識から応用まで No.6

 ここ1〜2年で鞘取りのやり方が若干変わってきました。一昔前の鞘取りのやり方では、例えば順ザヤ状態の時に、一般大衆によって買われ過ぎた期先限月を売り、中限を買いのセットで仕掛けて、過剰についたサヤのプレミアムを取る=縮小を狙っていく。一定の範囲内で動くサヤ値の上限で縮小を仕掛けるというやり方が主流でした。

 順ザヤ状態の時、サヤは無限には拡大しないと言われていましたので、(逆ザヤは極端に開く事が頻繁にあります)ナンピン戦略がかなり積極的に使われていました。

 ところが近年、特に穀物相場では、サヤ値がこれまでにないぐらい大きく変動するようになってしまいました。

 例えば、東京コーンのサヤですが、1992年の上場から2006年1月まで、順ザヤ状態の時は、先限と中限3番限のサヤ値は、+1310円が上限値でした。この前提が崩れ06年4月12日にはなんと+3290円まで拡大しております。もうそろそろ縮むはずだと、ナンピンで仕掛け、パンクしてしまった方も多かったようです。(それも不等分割で1-2-3などと仕掛けていたら被害は甚大でした)


 商品先物取引の鞘取りでは、縮小狙いだけでなく拡大狙いも考慮すべきでしょう。

 さらにサヤの動きに大きな方向性=トレンドが発生すればそれが転換するまで思い切って順張りで乗ってみるのも方法の一つです。鞘取り→裁定取引→関連性がある2つの銘柄の差額が通常より乖離した時に、それが元に戻るのを狙って仕掛ける→縮小狙い という考えが私達の『常識』として頭にあるので、

 「こんなにも値ザヤが拡大したから。」と仕掛けて逆行した場合、いつかは戻るはずと、頑張りすぎると鞘取りといえども、片張りと同じように大損をしてしまいます。

 流れに逆らっての縮小狙いはそれはそれで構わないのですが、必ず損切りのポイントを事前に決めておき、それを遵守する事が必要です。

基礎知識から応用まで No.7

 近年、商品先物の価格が以前と比較すると、より大きく変動するようになってきています。07年2月28日からの株式暴落・円高・商品市場全体の暴落(特に穀物の暴落が大きい)においても、鞘取り派はほぼ無傷でした。普段はあまり意識をしないですが、こうした突発的な急落・急騰は年に数回は起こるものです。この点に関して安心出来るのが鞘取りの大きな優位性です。

 個人で鞘取りを行う場合、準備したいのが、場帳・サヤのグラフ・ブロック帳と呼ばれるものです。まず各種銘柄の過去のサヤ値の、大まかな流れを見ます。これはエクセルで作成するか専門ソフトを使うとよいでしょう。次に場帳を作成します。(以下すべて慣れるまで手書きをオススメします)左端に日付。終値を当限から順番に6つ横に書きます。普通の場帳と異なるのは、右端に6‐3のサヤ、5‐2のサヤを書くのです。このサヤの値を縦に目で追っていきます。

 次にこのサヤ値を折れ線グラフで表します。横軸が時間軸で、1日で2ミリ。縦軸は、銘柄によっても異なりますが、アラビカのサヤだと、1ミリ10円・又は20円キザミです。6‐3のサヤを黒線で、5‐2のサヤを赤線で書きます。

 グラフを書くことで、サヤ値の変動が一方的な拡大・縮小トレンドを描いているのか、それともある一定の狭い範囲内を動いているレンジなのかが一目で分かります。基本的にはトレンドが出ている時には、思い切ってその流れの方向につく順張りで仕掛け、レンジの場合は、そのレンジの両端で、逆張り気味に仕掛けるのがセオリーです。



 これだけでも鞘取りは可能ですが、より細かく見るためにブロック帳をつけます。サヤの形がよく分かり、6‐3や5‐2以外のサヤにも注意を払う事が可能となり、例えばより低リスクな6‐4といった一つまたぎのペアで仕掛けるチャンスを見つけることも可能になります。次回より具体的な売買実例を提示して行きます。

基礎知識から応用まで No.8

 実例として、順ザヤの縮小狙いの例を挙げます。07年度になり東京一般大豆及び、東京NG大豆のサヤは非常に大きく動いておりますが、NG大豆は鞘取りで仕掛ける場合一組当りの証拠金が3万円のため気軽にトライしやすい銘柄です。


 先限・2月限と、3番限・8月限の2つまたぎの価格差=サヤの値を、あたかもひとつの銘柄の値動きのように見ると、1月11日に980円で縮小が止まった後は、拡大トレンドが進行していきました。18営業日後の2月6日にサヤ値、5880円をつけた後、翌日の2月7日、サヤ値が後場2節に5590円をつけたのを見て、後場3節に第一弾の縮小狙いの仕掛けを行いました。先限を売り建て、3番限を買い建てでペアを組みました。サヤ値は5330円でした。このとき損切りの目安として、前日のサヤ値の極限値、5880円を意識しております。

 サヤ値がこの数字を上回って、尚も拡大を続けるようであれば、一度逃げる心構えでいたのです。さらに翌日の、2月8日、分割仕掛け第2弾として終値で縮小方向に仕掛けました。サヤ値は、4580円でした。

 そのままサヤ値は縮小を続けました。期近および期中限月はストップ高により連日大きく上昇するが、期先はそれほど価格が上昇しないという状態が続き、サヤの縮小トレンドが継続したのです。

 仕掛けてから約2週間後の2月20日にサヤ値は、2010円をつけ、その翌日後場2節に2300円・後場3節に2110円の値をつけたのを見て、日柄的に2週間が経っていること、十分な含み益があること、再び流れが拡大方向に転換したものと判断で、後場3節で手仕舞いをしました。サヤ値は、2200円でした。

 結果的に、1組当たりで、3130円&2380円の利益幅です。NG大豆の倍率は10倍。一組3万円に対してそれぞれ104%・79%の利益を得ることが出来ました。この間、先限は上昇しましたが単なる片張りの買いでのトレードよりも安心して大きな利益が得られました。

基礎知識から応用まで No.9


 今週の実例として、順ザヤの拡大狙いの例を挙げます。07年1月初旬、東京一般大豆の順ザヤが急速に縮小していく過程で、『逆ザヤにまではならないであろう』との思惑で逆張り気味に、順ザヤの拡大狙いで仕掛け、逆ザヤには至らず反転、サヤ値の拡大のトレンドに乗ることが出来た例です。

 拡大仕掛けの第一弾として、大きくサヤが縮小した1月10日の翌日の11日に、3番限の6月限を売り-先限の12月限を買いの、順ザヤの拡大狙いでポジションを組みました。サヤ値は840円でした(表A)。前日終値サヤ値970円と比較して130円有利に注文が入りました。


 第二弾として、1月17日の場中、サヤがさらに縮小したのを見て後場2節でさらにサヤの拡大狙いで仕掛けました。サヤ値は360円でした(表B)。


 ロスカットのポイントとしてA・B共にサヤ値がゼロを下回る、つまり逆ザヤになれば一度損切りを行う予定でした。

 さて22日から流れが大きく変わりました。サヤ値のグラフでは、連日順ザヤは大きく拡大を続けていきました。中限、6月限の下落幅が期先の下落と比較して大きく、利益確定をぐっと辛抱して持ちつづけました。

 1月31日の場中に、利食いを決定しました。サヤ値は3100円でした(表C)。仕切りの理由として日柄として第二弾の仕掛けから2週間が経っていること、この日、期中が大きく上昇してサヤが縮んできたためです。


 その後、数日拡大を続けた後で、急速にサヤは縮小のトレンドに入りました。およそ1500円幅を取り逃がしましたが、結果的に、1組当たり、113000円&137000円の利益になりました。一組十五万円の証拠金に対してそれぞれ75.3%・91.3%の利益を得ることとなりました。

 順ザヤのサヤ取りで、短期間にここまで大きな利益幅を取れるのは、稀ですが、サヤ値の動きにもトレンドがあり、それが継続する限りは素直についていくことの大切さを教えてくれたトレードでした。

基礎知識から応用まで No.10

 鞘取りのメリットとして、急落・急騰による突然の大きな損失を受ける可能性が少ないことが挙げられます。サヤの変動はゆっくりですので、ついそこで油断をして、損切りを先延ばしにしてナンピンをダラダラと行うなどしがちです。大抵は回復して元に戻り、結果オーライで助かることも多いのですが、損切りの重要性の例を挙げます。

 アラビカコーヒーは、上場以来、順ザヤ状態の期間が長く、どちらかというと順ザヤの拡大狙いの仕掛けが有効な銘柄でした。


 2005年8月11日に3番限の1月限を売り、6番限の7月限を買い、サヤの拡大狙いのポジションを仕掛けました。サヤ値は910円で入りました。仕掛けた時には、1つ手前の5番限―2番限のサヤ値が、1670円と大きく、ゆくゆくはこの値ぐらいまでには近づく=拡大するであろうと考えたのです。またサヤ値のチャートでも、一旦3ケタ台になっても、そこで反発して再び拡大に戻りそうな流れでした。

 ところが数日後の8月18日、私のポジションは910→600円とそれほどの含み損では無かったのですが、ブロック帳で確認すると5番限―2番限のサヤ値が、1670円→910円。また4番限―1番限のサヤ値も同様に、1620円→730円と大幅に縮小しておりました。


 値洗いの金額ベースではまだ損切りをするほどではない含み損金額ですが、「おかしい」「もう在庫過剰型の順ザヤには戻らないのでは」と感じたため、翌日の寄付きで3番限売り―6番限買いのポジションを損切り決済をしました。前日と比較して多少有利に値段が入り、750円で仕切ることが出来ました。損失金額は1組につき160円×50倍=8千円でした。


 もしも損切り、つまり損の確定を行わず、ズルズルと引き伸ばしていたら、どうなっていたでしょうか?なんとサヤ値は、一時同ザヤになり、その後11月末になるまで、仕掛け値の910円に戻ってきませんでした。長らく同ザヤ状態が継続したのです。3ヶ月間資金が寝てしまったことになります。

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