竹本淳一の鞘取りの極意 情報提供:投資日報

基礎知識から応用まで No.51

 東京穀物取引所の東京一般大豆の鞘取りについて考えてみます。注意したいのが、現在、東京NG大豆との相関性が非常に薄くなっており、これとは『別物』として考える必要があります。

 一般大豆のサヤの変動について、2007年度から振り返ってみると、07年初頭からのトウモロコシ価格高騰を受けて、米国の農家が作付けを大豆からトウモロコシに大きく変更した。大豆の作付面積が減り在庫率予想が激減。品不足状態が明確となったのが、07年6月前後。大豆価格自体が高騰する中で、特に期近限からの上昇幅が大きく、順ザヤからのオカメザヤ・品不足の逆ザヤ、順ザヤ状態であっても、先よりも期近および期中限からの上昇が強い状態が続いた。そのため、07年度下半期は、先限売り建て―中限買い建てのポジションが有利でありました。

 ところが、08年度に入り先限12月限と5番限10月限が、最初大幅な逆ザヤ状態でスタートしたものの、大発会以降より、この部分の大幅な逆ザヤが急速に縮小し、順ザヤに至りました。サヤのグラフを見ても、07年度とはトレンドが異なった状態です。断定は出来ないが、現状では旧穀も高いが、それ以上に、(まだ種蒔きも始まっていない)新穀の先高期待の方が勝っている模様です。

 そこで、6番限―3番限のサヤ値が、逆ザヤから0を上回って順ザヤに転換したのを確認し、先限12月限を買い―3番限6月限を売りの、順ザヤ拡大のポジションを取りました。鞘値グラフの順ザヤ拡大の右肩上がりのトレンドを重視。0を下回り逆ザヤに戻れば躊躇無く損切方針。


 詳細は上図を参照して下さい。仕掛け後、先限からの人気買いによる高騰で順調にサヤ拡大し3連休前に一区切りつけるため利食いを行った。

 期近限月からの露骨な高騰による順ザヤ縮小化が見られるまでは、今のトレンド『順ザヤ拡大方向』が継続するものと判断しそのポジションを繰り返して取っていく予定です。

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基礎知識から応用まで No.52

 08年1月より東京穀物取引所の東京アラビカコーヒーはザラ場化となりました。この鞘取りについて考えてみます。

 正直なところ、今までの板寄せからザラ場となり、かなり難しくなりました。板寄せの時はアラビカの場合、一日5回の立会いに取引が集中していた為、流動性が低い期中限月でも一本値が付き、納得がいくことが多かったが、ザラ場に切り替わり東穀取のシステム不調のせいもあるのだが、場中の取引では(何回か試し玉を入れました)現状では著しく不利な値段になる。

 そのため、鞘取りの注文は、寄り付きや後場寄りに限定して行ったほうが良さそうです。


 先日の実例を図表で表してみました。アラビカは、その銘柄の特徴上、期近〜期中のサヤ値 > 期中〜期先のサヤ値といった、『在庫過剰タイプの順ザヤ』になることが多いのです。そのため、先限を買い中限を売る、順ザヤの拡大を狙うポジションがここ3年ほど有利でした

 しかし08年度に入ってからは、期近〜期中のサヤ値 < 期中〜期先のサヤ値といった、『前途期待タイプの順ザヤ』の状態を維持しております。そこで方針として、先限を売り、中限を買う順ザヤ縮小狙いのポジションを取ることにしました。  注意した点として、流動性にやや問題があるため、中限として3番限ではなく、4番限を選択しました。また、仕掛け・仕切りを前場の寄付or後場寄りに限定し、場中のサヤ変動を気にしないようにしました。


 08年2月12日後場寄りで先限1月限を売り、4番限9月限を買いのペアを仕掛けました。サヤ値は+1560円 > 縮小狙い。大引けでブロック帳のナナメラインを見ると+1320→+1120→+820と若干まだ縮小の可能性があったが、翌日の寄付で決済。サヤ値は+1210円。+350円幅の利益を確定。アラビカの倍率は50倍なので17500円の利益確定。要した期間は1日の短期トレードです。


 期近〜期中のサヤ値が小さい状態が続く限り、このパターンで攻略予定です。

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基礎知識から応用まで No.53

 鞘取り=安全・低リスクというイメージがあります。確かに突発的なアクシデントによるストップ高・安による第一撃に対しては鉄壁の守りとなりますが、油断すると簡単に資産を飛ばしてしまうケースも、年に数回は出てきます。

 コツコツ利益を蓄えていながら、たった一回、泥沼に嵌ってしまい利益を吐き出してしまうのは、実にもったいないものです。


 実例として東京NG大豆と東京一般大豆の異銘柄鞘取りを挙げます。上記図表をご覧ください。05年度〜08年度の、サヤ値の先限ツナギ足グラフです。かつてNG大豆と一般大豆の鞘取りは、異銘柄の鞘取りの中ではリスクも小さく規則性もあり、取り易かった。05年・06年は、約2000円幅のレンジでサヤ値が推移しておりました。ところが07年11月に入り、この流れがガラリと変わった。

 NG大豆の価格は高騰し続け、一般大豆も上昇はするが追いつけず、サヤ値は拡大を続けました。甚だしい時は、NG大豆がストップ高・一般大豆がストップ安と逆相関を示し、一日で4200円もサヤ値が拡大した局面も出ました。

 こんな時に、NG大豆のみが高騰した理由を捜し求めても、すぐには見つからないものです。価格が動いた後で理由付けとなる事が多い。NG大豆売り―一般大豆買いの縮小狙いで仕掛けていた場合、直近のピーク07年4月23日の+6410円を上抜いた07年11月13日の+6420円で損切を行うべきでした。ドテンは心理的にまず無理でしょう。損切をしないと1万円幅の逆行では倍率50倍、50万円の損失です。

 その後ピーク08年1月23日の+34710円まで拡大した後、急速に縮小。サヤグラフを後で見るとドテン縮小狙いで取れそうですが、実際問題、1月25日以降NG大豆は連日ストップ安に張付状態で注文が入らない状態でした。

 危険を感じた場合、早期にポジションを離脱し、手を出さないのが賢明です。08年2月23日時点では、2月5日以降のNG大豆新規建玉に1枚10万円の臨時増証拠金がかかり取引メリットは少ないです。

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基礎知識から応用まで No.53

 鞘取り=安全・低リスクというイメージがあります。確かに突発的なアクシデントによるストップ高・安による第一撃に対しては鉄壁の守りとなりますが、油断すると簡単に資産を飛ばしてしまうケースも、年に数回は出てきます。

 コツコツ利益を蓄えていながら、たった一回、泥沼に嵌ってしまい利益を吐き出してしまうのは、実にもったいないものです。


 実例として東京NG大豆と東京一般大豆の異銘柄鞘取りを挙げます。上記図表をご覧ください。05年度〜08年度の、サヤ値の先限ツナギ足グラフです。かつてNG大豆と一般大豆の鞘取りは、異銘柄の鞘取りの中ではリスクも小さく規則性もあり、取り易かった。05年・06年は、約2000円幅のレンジでサヤ値が推移しておりました。ところが07年11月に入り、この流れがガラリと変わった。

 NG大豆の価格は高騰し続け、一般大豆も上昇はするが追いつけず、サヤ値は拡大を続けました。甚だしい時は、NG大豆がストップ高・一般大豆がストップ安と逆相関を示し、一日で4200円もサヤ値が拡大した局面も出ました。

 こんな時に、NG大豆のみが高騰した理由を捜し求めても、すぐには見つからないものです。価格が動いた後で理由付けとなる事が多い。NG大豆売り―一般大豆買いの縮小狙いで仕掛けていた場合、直近のピーク07年4月23日の+6410円を上抜いた07年11月13日の+6420円で損切を行うべきでした。ドテンは心理的にまず無理でしょう。損切をしないと1万円幅の逆行では倍率50倍、50万円の損失です。

 その後ピーク08年1月23日の+34710円まで拡大した後、急速に縮小。サヤグラフを後で見るとドテン縮小狙いで取れそうですが、実際問題、1月25日以降NG大豆は連日ストップ安に張付状態で注文が入らない状態でした。

 危険を感じた場合、早期にポジションを離脱し、手を出さないのが賢明です。08年2月23日時点では、2月5日以降のNG大豆新規建玉に1枚10万円の臨時増証拠金がかかり取引メリットは少ないです。

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 やや難しい鞘取りとして鞘の一部分が他の部分と比較して、異常な形態で継続していくものがあります。

 有名な所では、【東京小豆の10月限と11月限のサヤ。】約千円前後の順ザヤが元々ついています。小豆の収穫は秋。旧穀=前年度に収穫され倉庫に最長1年間保管された商品であり、割安値となりやすい。新穀=収穫されたばかりの商品。必然、新穀の方が高い値段がつきます。


 初心者の方はここを見て「おお!10月限と11月限の間を見ると、他と比較して順ザヤ値が拡大している。この部分の縮小を狙おう!」 と考えてしまいますが、発会から納会に至るまで、この部分の順ザヤ値は、多少の変動はあるものの、他よりも余分についているプラス千円前後のプレミアムは縮まりません。縮小を狙っても思うように取れないということになります。このように旧穀・新穀による格差が最初から織り込まれている場合は、ブロック帳の斜めのライン読みは通用しにくく、途中で分断されているため、注意が必要です。

 小豆の供給先としては日本国内の他、中国からの輸入もありますが、作付け地域は日本と同じ北半球・ほぼ同緯度です。そのため収穫される季節もほぼ同時期。毎年、決まって10月が旧穀で安く11月が新穀で高くなります。

 では、同じ穀物でも【国際商品】の、大豆・トウモロコシ・アラビカコーヒーはどうでしょうか。通常は【旧穀・新穀をそれ程、意識しなくても良いです。】例えば大豆は北半球の北米が主要産地だが、南半球の南米の供給も近年急増。年に1回だけの収穫と異なり2回の収穫期が存在します。また小豆は1ヶ月に1回の限月交代制度だが、他の穀物銘柄は2ヶ月に1回、年に6回しか発会しないため、その影響は少ないです。

 しかし近年、環境が変わり、時としてこの旧穀・新穀を意識する必要が出てきました。

 次回は08年度の大豆銘柄における旧穀10月限と新穀12限のサヤ値について検証します。

基礎知識から応用まで No.55

 前回は小豆を例に出して旧穀・新穀の解説をしましたが、一般大豆とNG大豆について述べてみます。同じ大豆ですが今年に入り、鞘の動きは全く別物となっております。



 まずブロック帳をご覧下さい。2008年3月3日時点で先限の2月限と5番限の12月限は、今年の春に作付けを行い生育し、米と同じく秋に収穫する予定の大豆を受け渡しに利用する為、新穀扱いです。それより手前の1番限の4月限から4番限の10月限までは、昨年の秋に収穫した大豆を受け渡しに用いるので、旧穀扱いです。

 ブロックを見ると一般大豆では旧穀10月限と新穀12月限とのサヤは小さな逆ザヤ状態(▲290円)で他の隣同士の限月のように、なかなか順ザヤ値が大きくなりません。一般大豆の場合、将来的に価格が上昇するとの期待よりも、旧穀の在庫が品不足になるのでは?との懸念がやや勝っている状態です。



 NG大豆では、旧穀10月限と新穀12月限とのサヤは過剰に拡大した順ザヤ状態(+6360円)で、縮小する気配は無くまさに価格の『壁』が生じています。3月時点ではまだ今年の大豆の種まきは始まっておりません。なぜ同じ大豆なのに、このように、旧穀と新穀とで全く異なっているのでしょうか?

 大豆の主要産地である米国農家にとっては、除草剤を多数撒く手間がかかり、また分別に気を配る必要があるNG大豆を育てなくとも、大豆価格の高騰により、一般大豆(遺伝子組み換えのお陰で除草剤を撒く回数が激減)を育てても十分な利益になる。今年からNG大豆→一般大豆の作付けにシフトする農家が増え、NG大豆の作付面積の減少が予想される→将来の在庫不足状態を既に先取りして新穀が高いのです。

 NG大豆の10月限と12月限の部分を含む鞘取りは、高い順ザヤの数値を見ると縮小狙いで仕掛けたくなりますが、この価格プレミアムは、大衆の投機買いによるプレミアムと異なるため容易には縮まない可能性があります。

基礎知識から応用まで No.56

 08年3月中旬、円高ドル安が進行し1ドル100円を割り、商品市場にも影響を与えました。このようなときに鞘取りだと、影響はほとんど無いのがありがたいものです。

 東京コーンの実例を挙げます。鞘取りの極意・第49回では、コーンの順ザヤ拡大狙いを例に挙げましたが、今回はコーンの縮小狙いです。


 2月中旬〜後半にかけて、主として大衆の先限の人気買いの影響で順ザヤは拡大し、6番限B―3番限Hのサヤ値は2月21日に+3570円まで拡大し、ここから拡大の勢いは伸び悩みました。


 2月29日にブロック帳を確認すると、期近〜期中の順ザヤ値∧(小なり)期中〜期先の順ザヤ値になっており、頭デッカチの状態。さらにサヤ値のグラフでも、先行指標としてチェックをしている5番限@―2番限Fの値(+2750)が、6番限B―3番限Hの値(+3380)を下回っておりました。そこで順ザヤ縮小狙いを翌営業日の3月3日前場3節に仕掛けました。

 6番限Bを売り、3番限Hを買うポジションです。サヤ値は+3440円。前営業日終値より+60円有利にエントリー出来ました。損切の一つのポイントとして2月21日の+3570円を大幅に上回ってサヤ値が拡大したときと定めました。


 その後順調に縮小し、3月6日に6番限以外の5つの限月がストップ高をつけ、翌日3月7日には値幅制限拡大の影響を受けて大引けでは先限主導で大幅下落し順ザヤ値は急速に縮小。3月7日終値のブロック帳ではサヤ値は+1860円をつけました。

 1週間で予想以上の含み益となったため、翌営業日に決済しました。外電情報でのコーンの円換算値はそれほど下げていなかったのですが、3月10日前場1節から全面ストップ安で、3番限Hの注文は前場2節での決済となりました。サヤ値は+1860円。3440―1860=1580円幅の利益を確定。コーンの倍率は50倍、1組当たり79000円の利益です。


 3月14日時点では、サヤグラフ上での右肩下がりの縮小トレンドはまだ継続と判断し、繰り返し順ザヤ縮小方針で仕掛けていく予定です。

基礎知識から応用まで No.57

 商品の鞘取りを続けていく中で、まず慣れていくべきことは、鞘の価格をあたかも一つの銘柄の値動きのように捉える習慣をつけることです。

 先限の上下よりも、まずサヤの価格のみを注意してみる癖をつけると、株式・FX・商品先物の片張りと同じ感覚で、サヤ値の推移を読むのに、テクニカル分析がある程度は通用する事に気付きます。

 と言いましても、難解な指標を使う必要はありません。私が主に利用するのが、ダウ理論・トレンドライン・サポートとレジスタンスです。これらは手書きのサヤ値の折れ線グラフで十分活用できます。

 ダウの定義によると、連続する高値、安値のそれぞれがその前の高値、安値より上である限り、アップ・トレンド(順ザヤの拡大に当たる)が存在するとされています。ダウン・トレンド(順ザヤの縮小に当たる)はその逆になります。これがトレンドの基本的な定義であり、すべてのトレンド解析の基本となります。

 一昔前の鞘取りにおいては、逆張りが有利でした。サヤ値は狭いレンジの中を往復しており、それに逆向かうようにポジションを取り、ナンピンで仕掛けていけば、いずれ理論的な価格に収斂するという訳です。しかし2005年過ぎから、サヤ値にもトレンド性が出やすくなりました。損切規定を定めず、逆張りでポジションを増やし続けると、鞘取りでも壊滅的な損を蒙るケースが増えてきました。

 もちろん順張り一辺倒だと、サヤ値拡大の極値・天井圏でさらに拡大方向に仕掛けては損切を行うなどの、ちゃぶつきを生じる事もありますが、大きな嵌りに陥る事はありません。


 上記図表では、各種銘柄のサヤ値のグラフを表示しました。東京ゴムのサヤ値は、5〜10円前後の狭いレンジで推移していますが、他種銘柄は08年初頭に拡大のトレンドが発生し一旦ピークを迎えて頭打ちになっているのが確認できます。サヤブロック帳も重要ですが、まずグラフで大まかな流れを把握して、それに逆らわない事が大切です。

基礎知識から応用まで No.58

 08年4月時点で、仕掛けやすい鞘取りとして、コーンの鞘取りを取り上げます。鞘取りの記録をつけるときに、先限と3番限の値をつけることが多いですが、今回は少し変則的な、先限Bと4番限Jの鞘取りに注目してみます。


 08年4月4日時点でのブロック帳とサヤの形態を見ると、期近限月〜期中限月の順ザヤ値(小なり)∧期中限月〜期先限月の順ザヤ値となっており、これは所謂『前途期待の順ザヤ』の形態です。

 セオリーとしては、このような時に、先限売り―中限買いでポジションを取り、過剰についているプレミアムの剥げを取りたい所です。ただ4月になり、穀物相場が天候相場の季節に入りました。「人気による買いはまず先限から始まる」こともあり、今以上にプレミアムが付く可能性がある。その過程で含み損失が予想以上に膨らむリスクがあるが、それを和らげる方法として、相対的にプレミアムがついている先限と4番限でペアを組みます。


 まず先限―4番限のサヤ値のグラフを確認します。右肩下がりのダウントレンド=縮小トレンドの流れが続いている模様。次にブロック帳で、先限B―4番限Jに対する一つ左斜め下の升目、5番限@―3番限Hを見ます。+1520に対して+1200比較すると小さな値です。08年4月4日時点で時間経過と共に、この値まで縮小する可能性を秘めております。

 1ヶ月半前の08年2月18日新甫限月B発会から6営業日間は、この左斜め下の値は、逆転していました(中限の順ザヤがやや大きかった)が、現在は当限からのサヤ寄せもあり縮小が期待できそうです。

 ある程度資金を使える場合ですと、分割でナンピンを仕掛けてみるのも良いでしょう。1回目を+1520円近辺で。2回目を+1910円近辺で。(2300−1520=780円幅の半分=390円戻し。1520+390=1910)

 ただしブロック帳で期近〜期中の順ザヤ値が拡大してきた場合や、納会日4/15までに決着が付かない場合、粘る場合でも+2300を上抜いて逆行して拡大すれば損切撤退を行う必要があります。

基礎知識から応用まで No.59

 それまで片張りを行っていた方が、鞘取りに取組む理由として『急激な自己資金の増減に対しストレスを感じた為』という方も多いです。しかし低リスク・安全性が高いと言われる鞘取りでも、最近は銘柄により片張りと同程度の変動リスクを伴う事もありますので注意が必要です。

 帳面をつけて自分に合わない高いリスクの鞘取りは避けるべきです。個人的に私は、05年〜07年にかけては、一般大豆の同銘柄・異限月の鞘取り。NG大豆の同銘柄・異限月の鞘取りに力を入れていましたがここ数ヶ月は正直、取引を控えております。その分東京トウモロコシでの同銘柄・異限月の鞘取りが多い。

 コーンと一般大豆、それぞれでメインの鞘である6番限―3番限の鞘値の1日ごとの変動幅の絶対値を08年1月よりグラフ化してみました。


 69営業日のうち、ストップ高安によりサヤ変動0の日数がコーンは12日→20%未満ですが大豆は26日→30%以上を占めました。鞘取りで仕掛け・仕切りを行う際に、ストップに巻き込まれると片方の注文が通らない可能性が高くハイリスクになります。

 1日のサヤ値変動幅の平均値では一般大豆=700円。コーン=190円です。

 必要な証拠金はコーン6万×2枚=12万円。一般大豆12万×2枚=24万円。共に倍率は50倍ですのでコーンの鞘取りの場合は1日平均で、(190×50)÷12万=7.9%の変動リスクですが、大豆だと(700×50)÷24万=14.6%の変動リスク。必要証拠金は大豆の方が2倍かかるにも拘らずそれでもまだ、リスクは高いのです。

 また日中の節の中でも変動がアトランダムで予測しにくい状態です。一例ですが、一般大豆の08年4月11日前場2節〜後場2節までの6番―3番のサヤ値▲740,+280,+690,+690と1日の中で+1430円×50倍=7万1500円の変動があります。

 鞘取りは確かに突然のストップ高安の第一撃には強いですが、銘柄によってはこのようなハイリスクな取引も存在しますので、十分なチェックが必要です。