シンガポール編(1)
2008年6月18日

 さて、今回はシンガポール編。すみませんねえ、なかなか本編が進みませぬ。本当に本にできるのでしょうか(笑)。

 6月2日月曜日から6日金曜日までシンガポールに行ってきました。今回は主な目的は、チリ・クラブじゃなかった、社内のアジア戦略すりあわせのミーティングでしたが、ついでにシンガポールの取引先数社ともビールのついた!ミーティングをいくつかこなしてきました。見方によればただの飲み会と言えないこともないですが・・・。まあそこは深くつっこまないということで(笑)。現在のシンガポール・マーケットの状況を簡単にレポートしたいと思います。

 歴史的に見るとシンガポールのマーケットは、言い方は悪いですが、ずっと傍流にあったといえます。1980年代はアジアの金マーケットの中心は圧倒的に香港でした。香港にあるテールマーケット(香港金銀市場)がアジアの金取引の中心をなし、それに新興勢力である東工取を武器にして、日本の総合商社が金市場にどんどん参入してきた時代でした。

 90年代に入ると、米ドルにペッグされた香港ドルのためにテールマーケットの独自性が失われ、取引の中心がロコ・ロンドンと東工取に移り、豪州の鉱山会社のビジネスがアジア最大の金ビジネスになり、欧米の銀行を中心とする金取引業者はその拠点を香港からオーストラリアに移しました。

 そして2000年に入ってマーケットが上昇基調になり、産金業者のヘッジのビジネスが下火になると、金業者たちはオーストラリアを後にして、シンガポールや香港にその拠点を移しています。

 残念ながら東京は90年代のバブル崩壊により、大部分の商社が貴金属から撤退しマーケットは縮小、その税金を含むオフィスのコストの高さ、および東工取の特殊性などから、欧米の金融機関の金取引部隊が拠点を東京に据えることは、ほんの少しの例外を除き、ほとんどありませんでした。



シンガポール編(2)
2008年6月25日

 外為の世界でも東京はセールス部隊だけ、トレーディング部隊はシンガポールに置くという外銀が増えています。それとまったく同じく、商品部隊もトレーディングは基本的にシンガポールに置くという動きが近年とみに増えています。

 昔は東南アジアの金消費国に対する現物の供給基地というイメージが強かったシンガポールですが、最近はトレーディング指向、特にoptionを中心とした取引中心の銀行の参入が目立ちます。逆にいうと現物を含んだ総合的貴金属ビジネスをするというよりは、現物の絡まないペーパー上の取引のみに特化したプレーヤーがシンガポールに集中しつつあります。外為部隊の一部がそういう取引だけやっている、もしくは、やろうとしているというのが現状だと思います。

 実際どういうプレーヤーが現在いるのか、実際の名前をあげてみましょう。ただ栄枯盛衰の激しいこの業界、すぐに名前が消えたり、新しい名前が入ってきたりすることは日常茶飯事であります。これはあくまで2008年6月現在のマーケット参加者ということで理解してください。MMとはスポットマーケットでMaket Makingを行っているところです。

 現物系: Standard Bank, Commertzbank, OUB, Standard Chartered,

 金融系:JP Morgan(MM),Morgan Stanley, Dresdnerbank, Merrill Lynch, Deutche, DBS、Barclays (MM)

 現物系は、大量の現物(主に金)を東南アジアに供給することをメインにしており、実需にもとづいた業務をメインにしているところです。以前はStandard とRothschildの二社がシェアを二分していましたが、Rothschildが約2年前に金市場から撤退。その後DBSというシンガポール地場の銀行がRothschildのチームごとビジネスを継承しようとしましたが、結局うまくいかず、つい最近DBSは現物のチームを解散したようです。

 そのためこの分野ではStandard Bankの独壇場となっています。この分野は本格的にやろうとすると人手をかけて大量の現物の管理をする必要があります。そのためチームの人数も多めになってしまいがちです。

 金融系は、ごく少人数、一人もしくは二人だけのチームで、基本的にロンドンやニューヨークのbook caringをやっているだけのところが多いです。彼らは現物には全くタッチをすることなく、価格リスクのヘッジや銀行のオプションブックの管理だけを行なっています。

 JP Morgan Chaseは先日もとBear Sternsのトレーダーを香港から一人とニューヨークから一人シンガポールに送り、インターバンクでのトレーディングに力を入れていくようです。またBarclaysもMarket makerとしてトレーディングに注力しているようです。Deutchebank は現在チームを作りつつあるところです。

 現在、欧米の金融機関で貴金属の取引のアジアの拠点をおいているところは、ほぼシンガポールか香港に集中していますが、最近はシンガポールが香港との競争に勝ちつつあるように感じます。



シンガポール編(3)
2008年7月2日

 さて今週はおまけの脱線シンガポールのグルメ編。

 シンガポールはまさに東南アジアの要衝にあります。中国系、マレー系、インド系とその多様な人種構成も手伝って、まさにエスニック料理の宝庫です。それがまたみんなうまい!ということで、今週は今回のシンガポール出張で食べたもの、食べられなかったものをご紹介します。

「Chili Crab とPepper Crab」
 シンガポールに行ったらまずこれ、と言われる蟹料理。スリランカでとれる大きなMud Crabを独特のチリソースたっぷりで炒めたものがChili Crab。同じ蟹を胡椒で炒めたものがPepper Crab。普通は黒胡椒ですが、お店によってはWhite Pepper Crabというのもありました。

 今回は着いた日にNo Signboard Board Seafood Restaurantというおもしろい名前のお店のEsplanade(ドリアンのようなドーム系の建物)の中の支店で食べたのと、三日目のボートキーにあるスコータイというタイ料理のお店、そして最後の日の夜にEast Coast Seafood CenterにあるRed House Seafood Restaurantというところで計三回も手をチリソースでどろどろにしながら食べました。揚げパンをそのソースにつけて食べるのがまたおいしく、僕は最後の日はごはんを頼んでぶっかけて食べました。ああ幸せ。

 East Coastというのは空港から市内に向かう途中にある高速道路沿いのまさに東海岸沿いにシーフードのレストランが固まってある場所です。初めてシンガポールに来た時に連れて行ってもらって以来でした。ちょっと香港の鯉魚門(レイユンムン)に近いイメージですが、もっと開放的で基本的にOut doorで汗だくになって蟹と格闘するという感じです。肝心のChili Crabも最後の日が一番大きくておいしかったです。

タイ料理
 なぜか二回もタイ料理を食べました。一回は王宮料理というちょっとお上品なもの。タイ料理もまた辛うまで、日本で食べるのとはひと味もふた味も違いました。Amar HoteにあるThanying Restaurantとボートキーにあるスコータイというお店。

フランス料理
 Au Petit Salut。これは街中から少し離れた場所にあるのですが、decorも味も非常に洗練されているレストランでした。Frenchのレベルも相当高いですね。シンガポールおそるべし。

宿題
 今回mustと言われながらも食べられなくて次回の宿題となったのが、ペーパーチキン、チキンライスと骨肉茶(バクテー)。