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■まずはリスク管理
実際に取引をする上で、重要なのはリスク管理です。まず、相場を張る際のリスクとは何でしょうか。次のようなものがあげられます。

1.思惑とは逆に相場が動く
→損切りが重要です。

2.資金量に比べて取っているポジションが大きい
→要するに資金量に対する建玉枚数をどうするかです。

3.スリッページ(値ずれ)
→コストの一部と割り切りましょう。

4.ストップ高・ストップ安で注文が成立しない
→商品先物では株よりも頻繁に発生します。

こうしたリスクへの対応と心掛けるべきことを考えてみましょう。ここでは、インターネットで情報を探す際の情報の入手先やヒントを提供しています。あまりに多くの情報があるので、情報の洪水に溺れませんように!


■損切りは早く
思惑と逆に相場が動いた場合は、当然損失が発生しますが、どこまで損失を許容するのかあらかじめ決めておく必要があります。自分ではその方向が正しいとの判断でポジションを取ったので、多少思惑と逆に動いても、損切り水準まで逆行しない限りは建玉を維持することになります。その後、自分の思惑通りに動けば利食いのチャンスを待つことになりますが、だめなら損切り水準で躊躇なく損切りすることが重要です。
相場の格言に「損切りは早く、利食いはじっくり」というのがありますが、昔から損切りの重要性は繰り返し強調されています。それだけ損切りできずに大きくやられて資金を失う投資家が多いということの裏返しだと思われます。


■自分のポジションに恋するな
実際によくあるケースは、自分のポジションに恋して、損が出ているポジションをいつまでも引きずることです。損切りをせずに「この先、上げるに違いない」といった根拠のない理由から、建玉を持ち続けるケースが多くあるようです。こうなると、どうしようもなくなるまで損を放置してしまいます。最終的には大きな損失を出してしまい、資金の多くを失ったり、「もう先物はいやだ」となってしまいます。
相場は自分個人の思い込みなど気にしてくれはしません。うまく行かないときは、当初決めておいた値幅で無条件に損切りして、再度出直すことです。損切りすると、頭の中がよりクリアになり、落ちついて相場を見ることができます。


■満玉張るな
商品先物は1枚当たり数万円程度の委託証拠金を納めることで売買できますが、資金には十分なゆとりを持つことが重要です。仮に100万円の資金を用意したとします。とうもろこしだと証拠金は8万円程度なので手数料や税金分を含めても、10枚程度のポジションを建てることができます。
しかし、これは非常に危険です。10枚も建てると500円相場が動くと1枚につき5万円、10枚で50万円もの動きになります。利益が出る方向に動けばよいのですが、逆行した場合は100万円の資金が一気に50万円に減ってしまいます。また、これだけ損をしていれば追証もかかります。ですので、資金目一杯の売買は絶対に避けなくてはなりません。


■資金をどこまでリスクにさらすか
全資金のうち何%をリスクにさらすかは、その投資家の考え方次第ですが、全資金量のうち証拠金に充てる金額はせいぜい20−30%程度に留めるべきでしょう。100万円あれば証拠金に当てるのは30万円程度までにするべきです。先のとうもろこしの例では100万円の資金で2、3枚の売買に留めるべきです。
なお、自分のポジションがどれだけ動いたらどれだけ利益になるのか、どれだけ損失になるのかは、常に理解しておくべきです。また、いくらまで動いたら追証がいくらかかるのかといった点も知識として知っておくよう努めましょう。


■スリッページ(値ずれ)
例えば、大豆が上げ基調にあると見て、買いを入れるとしましょう。27500円で逆指値の買い注文を出し、実際の約定値段が27700円だったとします。この200円の差はスリッページ(値ずれ)と呼ばれます。板寄せの銘柄や商いの薄い銘柄では、このスリッページが結構大きく、予想外の不利な値段で約定するケースが結構あります。オンライントレードの発達で売買手数料は下がって来たので、このスリッページは手数料以上に損益を悪化させる要因となっています。売買する際にはこの点も十分に注意するべきでしょう。ただ、ゼロにすることはできないので、コストの一部と割り切ることも必要です。


■ストップ高・ストップ安
株式に比べて、商品先物ではストップ高・ストップ安を付けるケースが結構あります。買い玉を持っていて仕切り注文を出したものの、ストップ安で約定せず、仕切り注文が成立しないケースも出てきます。


■損小利大の考え方
売買をするたびに「勝った、負けた」を気にするのは当たり前のことですが、勝率にこだわり過ぎるのは禁物です。比較的長期のスタンスで臨むトレンドフォローのシステムでは、勝率は30−40%程度のことも多く、負ける回数が多くとも勝つときの金額は大きく、1度の大きな勝ちが数回の負けの金額の合計を上回ることで、トータルの収益をプラスにしています。
9勝1敗でも1回の利益が1万円なら利益はトータルで9万円、1敗の額が10万円ならトータルでマイナス1万円です。1勝9敗でも、1勝の利益が10万円、9敗の損失が9万円ならトータルでプラスになります。これは極端な例ですが、相場の世界では現実に経験されている方も多いと思います。負けトレードは早く切って損を小さく押さえ、勝ちトレードでは利益を伸ばすのが、損小利大の考え方です。


■売買の判断は自分自身で
様々な情報を分析した上で、実際にポジションを取るわけですが、どのような分析をしようと、どこから得た情報を参考にしようと、最終的に売買の判断を行うのは自分自身です。
「自己責任」というのはトレードを行う上では非常に重要です。でないと、「営業マンに勧められて金を買ったら損をした」とか、「レポートの推奨銘柄でとうもろこしを売ったら損をした」とか、損した責任を他人に転嫁することになりかねません。
本人は損した責任を人のせいにして気が済むかもしれませんが、それでは全く何の進歩もしません。「売買の判断を最終的にするのは自分である」という意識がない人は、永久に勝てるようになれません。
「そんなことわかりきっている」「当たり前のことだ」と考える方は正しいスタンスの持ち主です。ですが、世の中には損をしたのを人のせいにばかりする人もいます。くれぐれも“売買とは自己責任で行うもの”ということを忘れないで下さい。
商品相場を張る上でのリスクや対処方法について並べてきました。商品先物は思惑通りに相場が動けば短期間で大きな利益を得ることができる反面、逆行した場合は大きな損失を被る可能性もあります。それだけに、建玉枚数のコントロールや損切りは重要で、生き残るためのカギとなります。
なお、ポジションを持っていると値動きには敏感ですが、持っていないときには相場を全く見ていない人も意外と多いようです。銘柄ごとに値段の動き方も違い、季節的な特性などもあるため、ポジションのない時も常に値動きには注意を払っておくべきでしょう。
それと一度にあまり多くの銘柄を仕掛けるのは、注意が散漫になるという点から避けるべきです。5銘柄程度までなら、値段に常に注意していることも可能でしょうが、10銘柄程度になると値段を常にチェックし続けるのは難しくなります。確かに銘柄分散はリスクヘッジになりますが、分散し過ぎると値段もチェックできず、かえってリスクを高めることになりかねません。